映画学で大学院留学!

大学院留学するための毎日の記録

Cultural Cinema Exhibition Seminar No.2

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だいぶ遅くなりましたが、セミナー2つ目の備忘録です。

なんということでしょう…。私はこの2回目のセミナーの時間をすっかり忘れていたのです…!気づいた頃にはもう終わる10分前…録画しているのは知っていたので、運営に相談しよう…と思っていたら!

最後の3回目のセミナーが終わった後に、全セミナー(3回分)の動画リンクが送られてきました!!!!
ありがとう運営のみなさま…🥺期限つきでもすごく嬉しいです!

ということで、アーカイブ視聴となった今回のセミナーのまとめにいきましょう💨

第2回のテーマは「Audience development and independent cinema」。ロンドンにあるRio Cinemaという独立系映画館の方によるセミナーです。Rio Cinemaは「runs for the community」「runs by the community」、つまりはコミュニティによるコミュニティのための映画館です。セミナーの中では、どのようにお客さんにアプローチしているかを話してくださいました。

イギリスでは映画館に行って映画を観る人の年齢層が高くなっている、というデータがあります。日本も似ていると思いますが、イギリスではマーベルとかスターウォーズとか、「ハリウッド大作的なものは映画館で観る」という人が多いようです。こういう作品はまず最初にシネコンで上映されることが多いので、若者もシネコンに行くことが多いようですが、独立系はというとアート作品・外国語作品が多かったりすることもあり、年齢層は高めになっています。

また、ロックダウン下の映画業界において、実は2020年はシネコンよりも独立系映画館の方が収益が良かったそうです。その要因の1つは、ディズニーやマーベルなどの大作(ブロックバスター)が劇場上映ではなく配信で公開されたこと。シネコンは、先述の通りブロックバスターの上映から大部分の収益を上げているため、それがなくなったことで興業が良くなかったとのことでした。

そんな中、Rio Cinemaではさまざまな取り組みをしていました。まず、観客の年齢層については、他の映画館のように、大部分が年齢の高い方だったそうです。そういった状況を踏まえ、「What do our customers want?」ということを考えながらリサーチをして、若者のお客さんを増やすためにインタビューやアンケートなどで意見を聞いたりして、若い客層を増やす努力をしていました。そして、ロックダウンの最中では、オンラインプラットフォームで上映を行ったり、古くなった設備を新しくしたり、紙媒体の撮影場所として提供したりなど、新しい挑戦やロックダウン解除後に再開した時のための準備をしていたというお話でした。

Rio Cinemaは、コミュニティシネマとしての役割を重く受け止めていると感じました。観客の年齢層が高いということは、そのコミュニティにいる他の世代にアプローチ出来ていないということ。つまり、彼らのための作品、彼らのメッセージを伝える作品を上映できていないということです。
収益が出ているから今のお客さんを大切にする、というのも大事だと思いますが、コミュニティシネマであるからには今の状況ではダメだという共通認識がスタッフの中にあったんだなと感じました。

日本でも若者は映画を見ないとか、特に洋画を見ないとか、いろいろ言われていますが、それは提供する映画館側の取り組みでいくらでも変わるのだなと思いました。もちろん映像配信が普及して、より安く簡単に映画を見れるようになったし、早回しで見るとか鑑賞スタイルも多種多様になっていますが、習慣や環境が変わったことだけが要因ではないはず。そう思うと、現状に甘んじることなく、アプローチできていない層に向けた取り組みを行い、より多くの作品に触れる機会を増やすことが必要なのだと思います。そして、映画館側は専門家なのですから、映像を見る目を養うためのある種の教育をしていかなければ、これから生き延びることは大変になるのではないかと思いました。

もちろん、これは単に独立系映画館の努力不足という意味ではなくて(その場合もあるかもしれないけれど)、映画業界全体の問題であると思う。独立系を守っていくことができず、シネコン増に伴い映画館までの物理的距離が遠くなるケースや、作品そのものの魅力の弱さ、といった様々な日本映画業界が抱える問題を解消していかないと、世界から遅れを取るし国内での興行も下がっていくように思います。だからこそ、私はprogrammingやexhibitionについて学びたいんだと改めて感じたセミナーでした。