映画学で大学院留学!

大学院留学するための毎日の記録

映画学を知るために読みたい本

前回、映画学って何?という記事を書きまして。
amandasan-ryugaku.hatenablog.com

きっと読んでいただいた方の中には「映画学」には興味があるけれど、本当にこれを3−4年間専門的に学べるかな?(可能性ではなく頑張れるかどうか)と悩む方もいるんじゃないかなと思っていて。どの専攻を選んでも同じ悩みを抱えるとは思うのですが、「映画学」という果たしてどう社会の役に立つのか分かりにくい学問であればなおさらだし、制作ではなく理論分野だと余計に見えにくい部分がありますよね。

さらには、ご家庭によっては家族にもたくさん説明して理解してもらう必要もあるかもしれません。映画を学ぶってどういうこと?その後どうするの?なんて質問攻め(というか否定に近い?)にあうこともあるでしょう。そんな時、まず必要なのは自分自身がどんなことを学ぶのかを理解して、なぜ学びたいかをきちんと説明できるようになることじゃないかなと思っています。もちろん逆パターンもありますけどね。この仕事をしたい→だからこれを学ぶ、みたいな。

今回は、映画学を知るための入口として参考になりそうな本をご紹介したいと思います。ここで紹介するような本を読めば、きっとどんなことを学ぶのかイメージが湧くと思いますし、すでに映画学で進学が決まっている方なら予習としても良いと思います。

1点、とても申し訳ないのですが、私は日本で映画学をやっていないので、今回紹介するのは全て洋書になります(本当は和書でも専門書を読みたいけど積読が追いついていなくて…)。洋書は高めなので手を出しにくい部分もあると思うのですが、中古本とか電子版など使えるものはガンガン使って欲しいと思います。

A Short Guide to Writing About Film

この本は、大学入学前に読んでおくと良いよとコースディレクターがお薦めしていた1冊です。
最初に読んだ時は正直あまり理解していなかったのですが、授業を受けながら必要なところだけ読み直したりしていたら結構役立ちました。タイトルは"Writing about film"だけど、制作分野・理論分野問わず使えると思います。例えば、映像分析の用語についてだったり、研究のアプローチ方法についてだったり、なんならアカデミックライティングについてまで触れています。もちろん大学の授業では理論とか分析法とかを授業でしっかり学ぶと思いますが、映画に関する文章の書き方とかって教えてもらう機会はほとんどないと思います。report/review/essayはそれぞれこういう特徴があるよ、とかね。だから特に映画学を専攻することが決まっている人は、入学前の時間に余裕があるうちに読んでおくことをおすすめしたいです。
今回大学院出願にあたり、1本エッセイを書く必要があったので記憶の掘り起こしのために読み直したけれど、やっぱり分かりやすいなと思いました。

Cinema Studies: the key concept

これは映画学の用語集です。
ほら、日本史や世界史の参考書で用語集ってあるじゃないですか。それの映画学版だと思ってください。でも、暗記用じゃないですよ?どちらかと言うと辞書に近くて、専門用語について解説が書いてあるって感じです。授業や書籍を読んでいて分からない用語が出てきたらこの本で調べるのはもちろん、読み物としても面白いです(結構厚さあります)。制作の方にもおすすめしたい。
難しいのは、映像分野は技術の発展や業界の変化に伴って、まだまだ新しい用語や概念が出てきやすい学問だと言うこと。現在進行形でかなりのスピードで変化しています。この本も定期的に改訂版が出ていて、今年の秋にも第6版が出るようです(私が持っているのは第4版)。だから、あまり古い版を買うと見つからない用語もあるかもしれません。そうなったらインターネットを駆使して頑張って理解しましょう…!

Short cuts シリーズ (コロンビア大学出版)

cup.columbia.edu

学部生だったころは読んだことがなかったのですが、大学院出願の際にfilm programmingが本当に私がやりたいことなのかを確認したくて、入門書を探していたときに見つけたシリーズです。
テーマがかなり細分化されているので、映画学のこの特定の分野について知りたい!という時にお薦めです。French New WaveとかDocumentaryとか本当に細かくあります。だから、例えば映画学専攻で、研究テーマこれにしたいけどどうかな?って確認したい時に読んでみるのもいいだろうし、映画が好きで「映画を楽しく観ること」からその少し先へ行ってみたい方にもちょうど良いのではないかと思います。

A Very Short Introduction シリーズ (オックスフォード大学出版)

www.oupjapan.co.jp

実は、まだこのシリーズのfilmは読んだことがないので、全力でお薦めできるか分かりません。
でも、このシリーズは有名だし、おそらく外れることはないかと思います。時々セールもあるし、電子版もあるから入手しやすいですよね。本当だったらこのくらい手軽に買えて、ちょうど良い薄さの本からお薦めしたいのですが、何せ読んでいないもので…
ざっと見た感じ、映画関係のタイトル(Film, Documentary Film, Film Noir, Hollywood, Silent Film, The History of Cinemaなど)が結構あったので入門書として読むのに適していそうです。たぶん、そのうちこのシリーズも読むと思うので、読んだらどうだったか書きますね。

〜番外編〜
映画学はいろいろな学問と重なる部分があるので、余裕があるなら映画以外の分野にも触れておきたいところ。
例えば、
社会学
●哲学
●文学
●歴史 などなど…
この辺りは好みによりますが、何か入門書などを読んでみると良いかもしれません。歴史なんかは教科書でも良いかも。
本当に興味の方向性で変わるので何でも良いのですが、日本以外だと手に入りにくい書籍とかがあるならそちらを優先することをお薦めします。

今回は、映画学を学ぶ時に参考になりそうな本を紹介しました。
洋書ではありますが、実際に作品(映像)を見て確認しながら読み進めることができるから理解しやすいし、それが映画学の良いところだと思います。もし、手に取ってみたものの英文理解でつまづいてしまう場合には、いろいろな要因が考えられますが(構成とか著者とか)、英語力に不安があるというのも理由の1つかもしれません。そういう時には無理に読まなくても良いと思います。それで嫌いになったらもったいないので。

ただし、海外の大学で学ぶことを考えているならば、授業では大量のテキストを読み、作品を見て理解することが求められるので、英語力をつけることは必須です。要項のスコアぴったりだと、多分苦労するので英語は続けましょう。でも、日本にいる間にできるだけ多くの作品を見たり本を読んでおくと、多少はカバーできる部分もあるかもしれません。英文慣れと事前情報(知識)の量で変わってくると思います。

また、ここでご紹介したのは、あくまでも最初に手に取る場合を想定してのラインナップなので、がっつり勉強したい!という場合には、書籍の中で引用されている書籍や関連書籍を参考に選んでみると良いかと思います。参考になれば幸いです。

またどこかのタイミングで本を紹介したいと思っています。それではまた!